中和滴定 — 当量点の求め方と滴定曲線
短い答え: 一価の酸を NaOH で滴定するとき、当量点の滴下量は 。酸と塩基の物質量が反応比 1 : 1 でそろう点を指す。当量点は必ずしも pH 7 ではない。25 °C では塩酸と NaOH は pH 7、酢酸と NaOH は 7 より大きくなる。
前提と操作
対象は化学基礎の復習から大学の酸塩基平衡の入口。物質量 と対数を使う。まず滴下量を予想し、「滴定」で pH と曲線を確認する。5 ステージの後は、自由実験で酸の種類と NaOH の濃度を変えられる。
濃度は mol/L、体積は mL。。mol で計算するときは体積を L に直す。1 mmol = 0.001 mol。
当量点は「反応する量がそろう点」
まず反応式の比を読む
塩酸と NaOH はどちらも一価。 なので、酸の 1 mol に対して NaOH が 1 mol 必要になる。
酢酸も一価で、。最初に電離している H⁺ だけを数えるのではなく、反応できる酢酸全体を数える。
体積ではなく、濃度 × 体積をそろえる
酸を 20 → 30 mL にすれば必要な NaOH は 1.5 倍。NaOH の濃度を 2 倍にすれば必要な体積は半分。同じ濃度の酸と塩基のときだけ、体積も等しくなる。
弱酸は「必要量が少ない」わけではない
0.100 mol/L の塩酸と酢酸をそれぞれ 20.0 mL 用意すると、どちらも酸全体は 2.00 mmol。0.100 mol/L の NaOH での当量点は、どちらも 20.0 mL。弱酸の初期 pH は高くても、中和に必要な量まで小さくなるわけではない。
滴定曲線の読み方
横軸は加えた NaOH の体積、縦軸は pH。自由実験の実線は選んだ酸、破線はもう一方の酸。酸の濃度と体積、NaOH の濃度をそろえて比べる。
当量点の前後で、何が余るかが変わる
塩酸では当量点の前に H⁺、後に OH⁻ が余る。少量の追加で pH が大きく変わる急な部分を確かめよう。「曲線が急になる点」と「pH が 7 の点」は、すべての酸で同じとは限らない。
酢酸の当量点は、なぜ塩基性?
当量点では酢酸イオンが多くなり、水から H⁺ を受け取って OH⁻ を生む。
0.100 mol/L の酢酸 20.0 mL と同濃度の NaOH 20.0 mL なら、当量点は pH 約 8.72。塩酸と滴下量は同じでも、曲線の高さが違う。
半当量点では pH ≈ pKₐ
酢酸の半当量点は 10.0 mL。酢酸と酢酸イオンの量がほぼ等しい緩衝域では、 より pH ≈ pKₐ ≈ 4.74。この近似を、初期状態や当量点の pH に使ってはいけない。
当量点と終点を区別する
当量点は反応する物質量で決まる理論上の点。終点は指示薬の色などで実際に「止める」と判断した点で、ずれることがある。このゲームは当量点の体積を狙う。フラスコの青い色は模式図で、指示薬の色を表していない。
発展: pH を計算する
余った量を、混合後の体積で割る
強酸の当量点より前では、余った H⁺ の物質量を で割る。NaOH を加えると全体積も増える。酸だけの体積で割ると、濃度も pH も誤る。
。水の自己解離を無視できる濃度での近似なので、当量点のごく近くでは下の平衡式を使う。
当量点の後は OH⁻ が余る
25 °C では pH + pOH ≈ 14。例えば [OH⁻] = 0.0100 mol/L なら pOH ≈ 2、pH ≈ 12。酢酸のときも十分に当量点を越えれば、余剰の NaOH が主に pH を決める。
弱酸の当量点では、塩の平衡を使う
酢酸の 、水の から、酢酸イオンの 。当量点の酢酸イオンの濃度 0.0500 mol/L に対して、。pOH ≈ 5.28 なので pH ≈ 8.72。
例題: 滴下量と pH を分けて求める
0.0750 mol/L の塩酸 20.0 mL を、0.100 mol/L の NaOH で滴定する。当量点の体積、10.0 mL 加えたときの pH、20.0 mL 加えたときの pH を求めよ(25 °C)。
解答: 当量点の体積
塩酸は 0.0750 × 20.0 = 1.50 mmol。。当量点では pH 7。
解答: 10.0 mL 加えたとき
NaOH は 1.00 mmol。H⁺ が 0.50 mmol 余り、全体積は 30.0 mL。濃度は 0.50/30.0 ≈ 0.0167 mol/L、pH ≈ 1.78。
解答: 20.0 mL 加えたとき
NaOH は 2.00 mmol。OH⁻ が 0.50 mmol 余り、全体積は 40.0 mL。濃度は 0.0125 mol/L、pOH ≈ 1.90、pH ≈ 12.10。
類題: 条件が変わっても説明できる?
1. 濃度が違うときの当量点
0.120 mol/L の塩酸 25.0 mL を、0.200 mol/L の NaOH で滴定する。当量点まで何 mL 必要?
答え
酸は 3.00 mmol。3.00/0.200 = 15.0 mL。「酸と同じ 25 mL」にはならない。
2. 未知濃度を求める
未知濃度の塩酸 15.0 mL を、0.100 mol/L の NaOH 18.0 mL で当量点まで滴定した。塩酸の濃度は?
答え
。未知濃度も同じ物質量の式から求められる。
3. 酢酸の曲線を読む
0.100 mol/L の酢酸 20.0 mL を、同濃度の NaOH で滴定する。10.0 mL と 20.0 mL での pH はそれぞれ約いくつ?
答え
10.0 mL は半当量点で約 4.74。20.0 mL は当量点で約 8.72。「当量点だから 7」ではなく、残った酢酸イオンの平衡を考える。
モデルの仮定とゲームの判定
25 °C の塩酸または酢酸と NaOH を扱う。濃度を活量の近似として用い、体積は加算、混合後は平衡に達したとする。多価酸、他の弱酸、温度変化、空気中の CO₂、活量係数は扱わない。
画面の曲線は平衡から計算する
水の自己解離を含め、 と電荷収支を満たす。酢酸は、酸の保存と も同時に使う。当量点では使えない緩衝液の近似式を、曲線全体へ当てはめていない。
量の誤差で判定する
滴下量は 0〜60 mL、0.5 mL 刻み。ステージは当量点ぴったりでクリア。チャレンジは体積の相対誤差 0% で PERFECT、5% 以内で GREAT、10% 以内で GOOD。それ以外は MISS。pH の近さの判定ではなく、実験の測定精度を表す基準でもない。
参考資料
当量点、pH、弱酸の平衡を次の教科書・大学教材で確認した。画面と例題はドパリカで制作し、数値計算を別途検証している。
- OpenStax『Chemistry 2e』14.7 Acid-Base Titrations — 強酸・弱酸の滴定と当量点。
- OpenStax『Chemistry 2e』14.2 pH and pOH — pH の定義と水の平衡。
- 北海道大学の分析化学教材 — 酸塩基平衡と中和滴定曲線。
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