中和滴定(ゲーム)

酸を NaOH で滴定。横軸は NaOH の滴下量、縦軸は pH。量を予想し、滴定して曲線を確かめる。

ドパリカ

ACID–BASE TITRATION

Q. 中和には何 mL 必要?当量点は必ず pH 7?

📖 解説・例題・類題を読む

中和滴定 — 当量点の求め方と滴定曲線

短い答え: 一価の酸を NaOH で滴定するとき、当量点の滴下量は Veq=CaVa/CbV_{\mathrm{eq}}=C_{\mathrm{a}}V_{\mathrm{a}}/C_{\mathrm{b}}。酸と塩基の物質量が反応比 1 : 1 でそろう点を指す。当量点は必ずしも pH 7 ではない。25 °C では塩酸と NaOH は pH 7、酢酸と NaOH は 7 より大きくなる。

前提と操作

対象は化学基礎の復習から大学の酸塩基平衡の入口。物質量 n=CVn=CV と対数を使う。まず滴下量を予想し、「滴定」で pH と曲線を確認する。5 ステージの後は、自由実験で酸の種類と NaOH の濃度を変えられる。

濃度は mol/L、体積は mL。0.100 mol/L×20.0 mL=2.00 mmol0.100\ \mathrm{mol/L}\times20.0\ \mathrm{mL}=2.00\ \mathrm{mmol}。mol で計算するときは体積を L に直す。1 mmol = 0.001 mol。

当量点は「反応する量がそろう点」

まず反応式の比を読む

塩酸と NaOH はどちらも一価。H++OH−⟶H2O\mathrm{H^+ + OH^- \longrightarrow H_2O} なので、酸の 1 mol に対して NaOH が 1 mol 必要になる。

酢酸も一価で、CH3COOH+OH−⟶CH3COO−+H2O\mathrm{CH_3COOH + OH^- \longrightarrow CH_3COO^- + H_2O}。最初に電離している H⁺ だけを数えるのではなく、反応できる酢酸全体を数える。

体積ではなく、濃度 × 体積をそろえる

CaVa=CbVeq⟹Veq=CaVaCbC_{\mathrm a}V_{\mathrm a}=C_{\mathrm b}V_{\mathrm{eq}}\quad\Longrightarrow\quad V_{\mathrm{eq}}=\frac{C_{\mathrm a}V_{\mathrm a}}{C_{\mathrm b}}

酸を 20 → 30 mL にすれば必要な NaOH は 1.5 倍。NaOH の濃度を 2 倍にすれば必要な体積は半分。同じ濃度の酸と塩基のときだけ、体積も等しくなる。

弱酸は「必要量が少ない」わけではない

0.100 mol/L の塩酸と酢酸をそれぞれ 20.0 mL 用意すると、どちらも酸全体は 2.00 mmol。0.100 mol/L の NaOH での当量点は、どちらも 20.0 mL。弱酸の初期 pH は高くても、中和に必要な量まで小さくなるわけではない。

滴定曲線の読み方

横軸は加えた NaOH の体積、縦軸は pH。自由実験の実線は選んだ酸、破線はもう一方の酸。酸の濃度と体積、NaOH の濃度をそろえて比べる。

当量点の前後で、何が余るかが変わる

塩酸では当量点の前に H⁺、後に OH⁻ が余る。少量の追加で pH が大きく変わる急な部分を確かめよう。「曲線が急になる点」と「pH が 7 の点」は、すべての酸で同じとは限らない。

酢酸の当量点は、なぜ塩基性?

当量点では酢酸イオンが多くなり、水から H⁺ を受け取って OH⁻ を生む。

CH3COO−+H2O⇌CH3COOH+OH−\mathrm{CH_3COO^- + H_2O\rightleftharpoons CH_3COOH + OH^-}

0.100 mol/L の酢酸 20.0 mL と同濃度の NaOH 20.0 mL なら、当量点は pH 約 8.72。塩酸と滴下量は同じでも、曲線の高さが違う。

半当量点では pH ≈ pKₐ

酢酸の半当量点は 10.0 mL。酢酸と酢酸イオンの量がほぼ等しい緩衝域では、pH≈pKa+log⁡10([A−]/[HA])\mathrm{pH}\approx\mathrm pK_a+\log_{10}([\mathrm{A^-}]/[\mathrm{HA}]) より pH ≈ pKₐ ≈ 4.74。この近似を、初期状態や当量点の pH に使ってはいけない。

当量点と終点を区別する

当量点は反応する物質量で決まる理論上の点。終点は指示薬の色などで実際に「止める」と判断した点で、ずれることがある。このゲームは当量点の体積を狙う。フラスコの青い色は模式図で、指示薬の色を表していない。

発展: pH を計算する

余った量を、混合後の体積で割る

強酸の当量点より前では、余った H⁺ の物質量を Va+VbV_{\mathrm a}+V_{\mathrm b} で割る。NaOH を加えると全体積も増える。酸だけの体積で割ると、濃度も pH も誤る。

[H+]≈CaVa−CbVbVa+Vb(Vb<Veq)[\mathrm{H^+}]\approx\frac{C_{\mathrm a}V_{\mathrm a}-C_{\mathrm b}V_{\mathrm b}}{V_{\mathrm a}+V_{\mathrm b}}\quad (V_{\mathrm b}<V_{\mathrm{eq}})

pH≈−log⁡10([H+]/(1 mol/L))\mathrm{pH}\approx-\log_{10}([\mathrm{H^+}]/(1\ \mathrm{mol/L}))。水の自己解離を無視できる濃度での近似なので、当量点のごく近くでは下の平衡式を使う。

当量点の後は OH⁻ が余る

[OH−]≈CbVb−CaVaVa+Vb[\mathrm{OH^-}]\approx\frac{C_{\mathrm b}V_{\mathrm b}-C_{\mathrm a}V_{\mathrm a}}{V_{\mathrm a}+V_{\mathrm b}}

25 °C では pH + pOH ≈ 14。例えば [OH⁻] = 0.0100 mol/L なら pOH ≈ 2、pH ≈ 12。酢酸のときも十分に当量点を越えれば、余剰の NaOH が主に pH を決める。

弱酸の当量点では、塩の平衡を使う

酢酸の Ka=1.8×10−5K_a=1.8\times10^{-5}、水の Kw=1.0×10−14K_w=1.0\times10^{-14} から、酢酸イオンの Kb=Kw/Ka≈5.6×10−10K_b=K_w/K_a\approx5.6\times10^{-10}。当量点の酢酸イオンの濃度 0.0500 mol/L に対して、[OH−]≈Kb×0.0500≈5.3×10−6 mol/L[\mathrm{OH^-}]\approx\sqrt{K_b\times0.0500}\approx5.3\times10^{-6}\ \mathrm{mol/L}。pOH ≈ 5.28 なので pH ≈ 8.72。

例題: 滴下量と pH を分けて求める

0.0750 mol/L の塩酸 20.0 mL を、0.100 mol/L の NaOH で滴定する。当量点の体積、10.0 mL 加えたときの pH、20.0 mL 加えたときの pH を求めよ(25 °C)。

解答: 当量点の体積

塩酸は 0.0750 × 20.0 = 1.50 mmol。Veq=1.50/0.100=15.0 mLV_{\mathrm{eq}}=1.50/0.100=15.0\ \mathrm{mL}。当量点では pH 7。

解答: 10.0 mL 加えたとき

NaOH は 1.00 mmol。H⁺ が 0.50 mmol 余り、全体積は 30.0 mL。濃度は 0.50/30.0 ≈ 0.0167 mol/L、pH ≈ 1.78。

解答: 20.0 mL 加えたとき

NaOH は 2.00 mmol。OH⁻ が 0.50 mmol 余り、全体積は 40.0 mL。濃度は 0.0125 mol/L、pOH ≈ 1.90、pH ≈ 12.10。

類題: 条件が変わっても説明できる?

1. 濃度が違うときの当量点

0.120 mol/L の塩酸 25.0 mL を、0.200 mol/L の NaOH で滴定する。当量点まで何 mL 必要?

答え

酸は 3.00 mmol。3.00/0.200 = 15.0 mL。「酸と同じ 25 mL」にはならない。

2. 未知濃度を求める

未知濃度の塩酸 15.0 mL を、0.100 mol/L の NaOH 18.0 mL で当量点まで滴定した。塩酸の濃度は?

答え

Ca=0.100×18.0/15.0=0.120 mol/LC_{\mathrm a}=0.100\times18.0/15.0=0.120\ \mathrm{mol/L}。未知濃度も同じ物質量の式から求められる。

3. 酢酸の曲線を読む

0.100 mol/L の酢酸 20.0 mL を、同濃度の NaOH で滴定する。10.0 mL と 20.0 mL での pH はそれぞれ約いくつ?

答え

10.0 mL は半当量点で約 4.74。20.0 mL は当量点で約 8.72。「当量点だから 7」ではなく、残った酢酸イオンの平衡を考える。

モデルの仮定とゲームの判定

25 °C の塩酸または酢酸と NaOH を扱う。濃度を活量の近似として用い、体積は加算、混合後は平衡に達したとする。多価酸、他の弱酸、温度変化、空気中の CO₂、活量係数は扱わない。

画面の曲線は平衡から計算する

水の自己解離を含め、[H+][OH−]=Kw[\mathrm{H^+}][\mathrm{OH^-}]=K_w と電荷収支を満たす。酢酸は、酸の保存と Ka=[H+][A−]/[HA]K_a=[\mathrm{H^+}][\mathrm{A^-}]/[\mathrm{HA}] も同時に使う。当量点では使えない緩衝液の近似式を、曲線全体へ当てはめていない。

量の誤差で判定する

滴下量は 0〜60 mL、0.5 mL 刻み。ステージは当量点ぴったりでクリア。チャレンジは体積の相対誤差 0% で PERFECT、5% 以内で GREAT、10% 以内で GOOD。それ以外は MISS。pH の近さの判定ではなく、実験の測定精度を表す基準でもない。

参考資料

当量点、pH、弱酸の平衡を次の教科書・大学教材で確認した。画面と例題はドパリカで制作し、数値計算を別途検証している。

資料の確認日・更新日: ・ 誤りのご報告はお問い合わせへ

ほかの教材へ

もくじへ戻ると、化学・力学・静電気の教材を選べる。化学ではこの教材から、濃度と物質量を使う問題、酸塩基平衡の考え方を練習しよう。