ベイズの定理 — 条件で分母になる集団が変わる
短い答え: と は、数える集団が違う。B が分かった後の A の確率は、B に合う品物をすべて集め、その中の A の割合を求める。もともとの A の割合(事前確率)も必要。
前提と操作
初めてのステージでは、見る場所・考える手順・別の数値の例を案内する。「考え方・ヒント」から途中でも読み直せる。5問の練習は時間制限なしで、間違えても続けられる。答えと理由は自分で次へ進むまで残る。時間付きの挑戦は任意で、一問90秒以上。解説は未クリアでも読める。
高校の条件付き確率の復習から、大学の確率・データ分析の入口。事象、割合、百分率を使う。架空の品物の検査と、二つの工場の例で学ぶ。
図のオレンジは不良品、青緑は正常品のうち条件に合うもの。灰色は条件に合わず分母から外れるもの。最後の工場の問題ではオレンジが工場 A、青緑が工場 B に変わる。三択を選び「確かめる」。矢印で選択、Enter / Space で確定できる。
自由実験では不良品の割合、誤検出率、「検出あり/なし」を変える。不良を検出する確率は 90 % に保って比較する。+−は事前の不良割合を 0.1 ポイント、Shift+矢印は 5 ポイントずつ変える。「初期条件」で元に戻る。
「不良なら検出」と「検出なら不良」を分ける
A を「不良」、B を「検出」とする。 は、不良品だけを集めたとき、90 % が検出されるという意味。求めたい は、検出された品物だけを集めたとき、不良が何 % かという別の割合。
正常品が誤って検出されることもある。全体に正常品が非常に多ければ、正常からの誤検出が、検出された集団の大部分になることがある。検出率だけでは、結果から原因を推定できない。
例題: 個数で分母を作る
架空の品物 10,000 個について、不良の割合は 1 %。不良の検出率は 90 %、正常の誤検出率は 5 %。検出された品物が本当に不良である確率を求める。
| 集団 | 検出あり | 検出なし | 計 |
|---|---|---|---|
| 不良 | 90 | 10 | 100 |
| 正常 | 495 | 9,405 | 9,900 |
| 計 | 585 | 9,415 | 10,000 |
不良 100 個のうち 90 個が検出。正常 9,900 個のうち 495 個も検出される。条件の「検出あり」に合うのは 90 + 495 = 585 個。そのうち不良は 90 個なので、
図の上の長方形は全体、下の帯は検出された集団に絞って横に広げたもの。同じ品物を、違う分母から見ている。
個数の計算を一般化するとベイズの定理
分子は A と B の両方に合う確率。分母は A から来る B と、A 以外から来る B を足した全体 。この二つの集団は重ならず、全体を分けている。
事前確率を 、検出率を 、誤検出率を と書くと、分母は 。
同じ検出率・誤検出率でも、事前確率 が変わると答えは変わる。自由実験で不良の割合を 1 → 10 % にすると、検出された集団での不良の割合が増える。誤検出率を 5 → 1 % に下げても増える。
検出されなかった場合
条件を「検出なし」にすれば、使う集団も変わる。
不良 10 %、検出率 90 %、誤検出率 10 % の場合、見逃された不良は 100 個、検出されなかった正常は 8,100 個。100/8,200 ≈ 1.2 %。「検出なし」でも不良の確率は 0 とは限らない。
工場の推定でも同じ分母を使う
全体の 20 % を工場 A、80 % を工場 B が作る。A の不良率は 10 %、B は 1 %。不良品を一つ見つけたとき、A 製である確率は?
解答
10,000 個の期待個数で考えると、A 製の不良は 2,000 × 0.10 = 200 個、B 製の不良は 8,000 × 0.01 = 80 個。200/(200 + 80) ≈ 71.4 %。A 製がもともと 20 % でも、不良という情報を得た後は割合が変わる。
類題: 式より先に集団を言える?
1. 不良の割合 2 %、検出率 95 %、誤検出率 2 %。検出された品物が本当に不良の確率は?
答え
10,000 個なら、不良の検出は 200 × 0.95 = 190 個。正常からの誤検出は 9,800 × 0.02 = 196 個。分母は検出された 386 個、答えは 190/386 ≈ 49.2 %。
2. 誤検出率が 0 % なら、検出された品物が不良の確率は?
答え
検出が起こる確率が正なら 100 %。正常からは検出されない。ただし、不良がなく、検出が絶対に起きない設定では、条件付き確率の分母が 0 になり定義できない。0 % と同じ意味ではない。
期待個数と判定の範囲
すべて架空の確率設定。図と表は 10,000 個に対する期待個数で、実際の検査の観測結果やランダムな標本ではない。自由実験では小数の個数も現れる。実際の検出率や誤検出率を推定する機能、独立性を仮定した検査の繰り返しは扱わない。
三択は確率を小数第 1 位の % に丸める。正しい選択肢でクリア、時間付きの挑戦は正解 PERFECT、誤答・時間切れ MISS。点数はゲームの記録で、現実の判断の正確さを評価するものではない。
参考資料
- 北海道情報大学「データ解析入門」第 5 章 — 条件付き確率、表を使う計算、結果から原因の推定。
- 大阪工業大学「確率統計」講義案内 — 条件付き確率とベイズの定理の学習範囲。
図・品物と工場の設定・問題はドパリカで制作。期待個数の保存と、条件の両側を合わせた全確率を検証した。
つながる教材
ドパリカのもくじから他分野へ。確率でも化学でも、何を数えているかと、どの集団・体積で割るかを先に決めよう。