化学平衡(ゲーム)

条件を変えた直後と、平衡に戻った後の A・B の物質量を比べる。

ドパリカ

CHEMICAL EQUILIBRIUM

Q. 圧力・温度・触媒を変えると、平衡は動く?

📖 解説・例題・類題を読む

化学平衡 — 圧力・温度とルシャトリエの原理

短い答え: 条件を変えた直後の反応商 QQ と、その温度の平衡定数 KK を比べる。Q<KQ<K なら右、Q>KQ>K なら左へ進む。Q=KQ=K なら平衡のまま。圧力は全圧だけでなく、反応に関わる気体の分圧を見よう。

前提と操作

初めてのステージでは、見る場所・考える手順・別の数値の例を案内する。「考え方・ヒント」から途中でも読み直せる。5問の練習は時間制限なしで、間違えても続けられる。答えと理由は自分で次へ進むまで残る。時間付きの挑戦は任意で、一問90秒以上。解説は未クリアでも読める。

高校化学の復習から、大学の熱力学・化学平衡の入口。理想気体と物質量を使う。架空の吸熱反応 A(g)⇌2B(g)\mathrm{A(g)\rightleftharpoons 2B(g)} を題材に、5 ステージで物質の追加、圧縮、加熱、不活性気体、触媒を比べる。

三つの答えを大きなボタンで選び、「確かめる」で判定。矢印でも答えを選べ、Enter / Space で確定できる。自由実験では体積・温度・追加する物質を変える。+−は体積比を 0.05、Shift+矢印は 0.5 ずつ変え、「初期条件」で戻す。図は変更直後と平衡後を比べ、反応の所要時間は再現しない。

Q は今の組成、K は平衡の条件

平衡でも正反応と逆反応は続いており、速さが釣り合って組成が一定になる。気体 A ⇌ 2B なら、標準圧力 p∘=100 kPap^\circ=100\ \mathrm{kPa} を使って、無次元の反応商を次のように定義する。

Qp=(pB/p∘)2pA/p∘,pi=niRTVQ_p=\frac{(p_B/p^\circ)^2}{p_A/p^\circ},\qquad p_i=\frac{n_iRT}{V}

B の係数 2 が指数になる。平衡時の Q が K。Q が小さすぎると B を作る方向、大きすぎると B を減らす方向に進んで Q = K へ戻る。同じ温度で物質量や体積を変えても K は変わらない。

ゲームの初期状態は A 0.500 mol、B 1.000 mol、300 K、体積約 24.943 L。分圧は A 50 kPa、B 100 kPa なので Q = 1²/0.5 = 2。300 K での K = 2 と等しく、平衡にある。

圧力を上げる方法を区別する

温度一定で体積を半分にする

変更直後の A・B の量は同じまま、両方の分圧が 2 倍になる。Q = 2²/1 = 4 > K = 2 なので左へ進む。左側は気体 1 mol、右側は 2 mol に対応し、圧縮で気体の量が少ない側へ進むというルシャトリエの説明と一致する。

「圧力を上げると必ず左」ではない。反応式の両側の気体の係数を比べる。係数の合計が等しい反応では、等温の体積変更で Q は変わらない。

不活性気体を加える

温度と体積が一定なら、A・B の分圧は変わらない。反応しない気体を 1 mol 加えると全圧は 150 → 250 kPa に増えるが、Q = K = 2 のまま。全圧だけで平衡移動を判定すると間違う。

圧力を一定に保って不活性気体を加える場合は、体積が増え、A・B の分圧が下がる。このゲームの「温度・体積一定」とは条件が違う。

温度と触媒は何を変える?

温度を変えると K が変わる

吸熱反応では加熱で K が大きくなり、発熱反応では小さくなる。移動方向は、変更直後の Q と新しい K から判定する。画面の吸熱反応は標準反応エンタルピーを +20 kJ/mol とし、次の近似で K の温度変化を計算する。

ln⁡K(T)K(300)=−ΔH∘R(1T−1300)\ln\frac{K(T)}{K(300)}=-\frac{\Delta H^\circ}{R}\left(\frac1T-\frac1{300}\right)

体積一定で 300 → 330 K にすると、変更直後 Q = 2.20、K ≈ 4.15。Q < K なので右へ進む。温度で分圧が増える効果だけを見ず、新しい K と比較する。

触媒は平衡組成を変えない

触媒は正反応・逆反応の進行を速めるが、K は変えない。平衡だった系に触媒を加えても、平衡の量比は同じ。図が示すのは平衡組成であり、触媒による速さの変化のアニメーションではない。

例題: 圧縮後の物質量まで求める

初期の平衡状態から、300 K のまま体積を半分にした。新しい平衡で A・B は何 mol か?

解答: 保存量と平衡式を使う

A 換算の総量は nA+nB/2=1.000 moln_A+n_B/2=1.000\ \mathrm{mol} で保存される。B の量を b mol とすると A は 1 − b/2 mol。この条件では Q=2b2/(1−b/2)=2Q=2b^2/(1-b/2)=2。2b2+b−2=02b^2+b-2=0 の正の根から B ≈ 0.781 mol、A ≈ 0.610 mol。B が減る方向は左への移動と一致する。

類題: 理由も言える?

1. 初期平衡から、300 K のまま体積を 2 倍にした。Q と移動方向は?

答え

分圧は半分。Q = 0.5²/0.25 = 1 < 2 なので右へ進む。K は 2 のまま。

2. 温度と体積を保って A を 0.5 mol 加えた。B の量は増えるか?

答え

直後は A 1.0 mol、B 1.0 mol。Q = 1 < 2 なので B を作る右へ進む。「全体の物質量が増えた」だけでなく Q の分母に注目する。

モデルと判定の範囲

A・B は実在物質を表さない理想気体。同じ容器内の一反応だけを扱い、平衡後の量を保存式と Q = K から求める。K(300 K) = 2、ΔH° = +20 kJ/mol は教材の設定値。熱容量による ΔH° の変化、非理想気体、反応速度、液体・固体の平衡は扱わない。

ステージは正しい方向でクリア。時間付きの挑戦は三択の正解を PERFECT、誤答・時間切れを MISS とする。点数や星はゲームの記録で、理解の測定結果ではない。

参考資料

図・設定値・問題はドパリカで制作。数値計算は保存量と平衡式で検証した。

資料の確認日・更新日: ・ 誤りのご報告はお問い合わせへ

つながる教材

中和滴定では、弱酸と水の平衡から当量点の pH を考える。物質量の保存と平衡式を、別の化学の問題でも使ってみよう。